2013年7月9日火曜日

予算管理や売上予測にエクセルが不向きな5つの理由

エクセルはもっとも普及しているビジネスツールと言っても過言ではないでしょう。今やほぼすべてのビジネスパーソンがコンピューターを使っていて、そのほとんどにエクセルがインストールされており、様々なタスクに利用されています。

予算管理や売上予測などの業績管理もエクセルで行われているケースが非常に多いです。ただし、以前にこのブログに投稿した「スプレッドシートの88%は間違っている」でもご紹介した通り、スプレッドシートの間違いによる間違ったデータに基づいた意思決定が行われるリスクは非常に大きいのです。

Smart Data Collectiveに掲載された記事「Five Reasons Excel Is Your Worst Enemy for Budgeting and Forecasting」でIan Nicholson氏はさらに掘り下げてエクセルが予算管理や売上予測などの業績管理に不向きな理由を5つあげています。

1.エクセルはマルチユーザー対応ではない

エクセルは基本的に単一ユーザーの利用を前提に作られているツールです。複数人で同じエクセルファイルを扱う場合は、単一のファイルに対して順番に作業をする、あるいは同じファイルのコピーに対してそれぞれが作業を行い、その後に誰かがすべての作業内容を単一のファイルに統合する必要があります。

2.配布における問題

エクセルファイルを共有する場合、ほとんどの場合メールに添付して送付されています。メールで送付するということは、結果的にどこにでも転送されてしまうリスクが伴います。会社の業績に関わる情報の管理手法として問題があるのは言うまでもありません。

3.バージョン管理

エクセルファイルが一旦配布されてしまうと、受け取ったユーザーは「作業用」のコピーを作成したり、様々なシナリオを検証するために「理想パターン」「固めに読んだパターン」などのコピーを作成したりするものです。その結果、結局どのバージョンが最新であり、どのバージョンが関係者全員の入力内容を含んでいるバージョンなのかがわからなくなってしまうリスクがあります。

4.品質の劣化

各関係者にとってわかりやすく、簡単に入力ができるように様々なマクロ、計算式、プルダウンメニューなどの入力規則が組み込まれたエクセルファイルを作成することは良くあることです。問題は、ほとんどの場合で誰かがその秩序を壊してしまい、スプレッドシートの品質が劣化してしまうことです。壊れてしまうパターンとしては、余分な行が追加されたり、理解できない計算式を生の数値で上書きされたりと、その可能性は無限大にあります。いったん関係者全員が入力したエクセルシートを検証すると計算結果が間違っていて、その間違いの原因を探し出して修正するためだけに多大な時間と労力がかかってしまいます。

5.ワークフロー管理

関係者全員にエクセルを返送する期限を設定したとしても、進捗状況を把握することはできません。特に大きな組織では予算管理票を提出する前に上長の承認を得る必要があったりと、単純に担当者にフォローアップするだけでは進捗を管理することができないケースもあります。エクセルにはこのようなワークフローを管理する機能はありませんので、どのファイルが誰に配布されていて、どのように進捗しているかを手作業で管理するしかありません。


このような理由から、エクセルなどのスプレッドシートは業績管理を包括的に行うには不適当なツールだといえます。複雑なスプレッドシートに内在するエラーのリスクを回避したとしても、やはり単一のユーザーが計算やシミュレーションを行うために利用すべきでしょう。

組織としてデータを活用し、コラボレーションを行い、意思決定をしていくためには、その目的にマッチしたプラットフォームを利用する必要があるのです。

------------------------------------------
出典:"Five Reasons Excel Is Your Worst Enemy for Budgeting and Forecasting," Ian Nicholson, Smart Data Collective
http://smartdatacollective.com/ian-nicholson/132486/excel-your-worst-enemy-budgeting-and-forecasting

0 件のコメント:

コメントを投稿

データドリブンビジネスって?

最近のバズワードである「ビッグデータ」の本質にあるのが「データドリブンビジネス」ではないかと思います。ビッグデータを活用することでデータに基づいた意思決定を行い、業績を向上させる。 データドリブンビジネスを行うために企業はさまざまな施策を実施しています。膨大な量のデータを収集...