2013年5月23日木曜日

スプレッドシートの88%は間違っている

「マイクロソフトのエクセルに代表される表計算ソフトは、かつて会計士や統計学者にしかできなかったような複雑な計算を誰にでも簡単に行えるようにしてくれた。ただし、その副産物として間違った計算・算数が世の中にはびこってしまった。」
と語るのはハワイ大学のRay Panko教授。過去に実施された複数の調査結果を2008年に分析したことによってこの驚くべき結論に至りました。

この事態は家計簿の計算間違いや中小企業の誤った財務諸表にとどまらず、大企業の事業計画や大規模な学術調査などにおいても現実に発生しているケースもあるようです。いくつかの調査で企業のスプレッドシートへの依存が非常に高いことがわかっています:


  • CODA (www.coda.com)によると、アメリカ企業の95%が財務諸表の作成にスプレッドシートを使っている。
  • Softtrax.comがIDCに委託して実施した経営者118人の調査では、85%が業績の集計と予測、及び予算の管理と予測にスプレッドシートを使っている。
  • CFO.comが財務部門で利用されている14種類の技術について実施した168人の財務責任者の調査では、2種類(スプレッドシートと基本的な予算計画システム)だけが広く使われており、全ての部門がスプレッドシートを使っている
また、スプレッドシートのエラー率についてもあらゆる調査が行われており、平均的に数パーセントのセルにエラーが含まれているようです。大きなスプレッドシートになると、問題は「エラーが存在するか否か」ではなく、「いくつエラーが存在するか」ということになります。

この「数パーセント」というエラー率はソフトウェア開発におけるエラー率とほぼ同等なので驚くべきことではありません。問題は、ソフトウェア開発ではエラーを排除するための体系化された開発手法が確立されているのに対して、ほとんどのスプレッドシートの作成手法は体系化されておらず、作成者本人以外の人がチェックを行うことはほとんど無いようです。

こういった状況の中でも、企業においてスプレッドシートの作成方法や利用シーンを監督したり制限したりするような動きはほとんど見受けられません。その結果、誤った情報に基づいた経営が今後も当面続きそうだという結論に至らざるを得ません。

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皆様のスプレッドシートの利用状況はいかがでしょうか。
この記事を読んだことを機に日々の意思決定に使っているデータやツールを見なおしてみてはいかがでしょうか。
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出典:
http://www.marketwatch.com/story/88-of-spreadsheets-have-errors-2013-04-17
http://panko.shidler.hawaii.edu/ssr/Mypapers/whatknow.htm







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